＜Heaven's＞様　配布　クリスマスで10のお題　Ver.2 より

03.冬の観覧車

ぎちぎち　と　重そうな音が　余計に 寒さ　を運んでくる ゆっくりと回るたくさんのゴンドラは ゆっくりと時刻を告げる秒針 “おふたりですね？どうぞ。” 寄り添い合う２人や、少し照れくさそうな２人 ライトアップの時刻には わざわざ確認するまでもなく ふたりきり　の隔絶された時間を求めて 恋人達が列を作る 私は ベルガールみたいに恭しく その扉を開ける役割 『どうぞ　幸福で　甘い　15分間を』 心で思いながら 誰のためでもない笑顔を向ける 本当に　そう伝えたい相手は イブにも逢えない薄情者なのに 仕事・仕事・仕事 当たり前みたいに　そんな風に云うから 私だって　バイト・バイト・バイト　とシフトを組んでしまう 貴方は 二つくらい先のゴンドラにいつもいて 見えているのに追いつけない 手を振っているのに　背中は気付いてくれなくて 天辺に到着して 少し優位に立ってたつもりでも　本当は先に進んでる 見えなくなってしまう いつか貴方は 私の気付かないうちに 降りてしまうかもしれない この延々と続く追いかけっこから ・・・・いやだな・・・・ さみしい なきそう あいたいよ このゴンドラが　ぐるっと一周する１５分だけでも　いい 真冬の 考えてるよりずっと寒い 観覧車の中で　かまわないから

photo & words by minato kazusa